Caixa de pequenas palavras ―小さな言葉の箱―

詩のような、創作のような。

お城の桜

   小さなお城の堀のまわりに
   桜が綺麗に咲き誇っている
   お城で暮らすお姫様は
   どんな気分で見ていたのだろう

「お姫様になりたい」と言って
街を飛び出した彼女を
反対するでもなく
ただ黙って見ているだけだった

「お姫様になんかなれないよ」とも
「私がお姫様になりたいの」とも
言えなかったあの日
彼女とはもう会えないと知った

不甲斐ない自分に嫌気がさして
桜の木を切り倒そうと考えた
だけど咲き誇る桜を見て
ただただ涙がこぼれるだけだった

庭師になって桜の木を綺麗にしたい
いつか誇りを持てるように
「水面に映る桜が綺麗ですよ、お姫様」
なんて、届かない声で呟きながら

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