いみ
忌み嫌われた少年は意味を問う
「僕はどうして生きてるの?」
天使のような少女は
応えかける
「誰かに必要とされるためよ」
忌み嫌われた少年は悩みかける
「それは立派な人じゃなきゃダメなの?」
天使のような少女は
笑いかける
「そんなことないわ、立派な人なんていないもの」
忌み嫌われた少年はぼそぼそと意味を問う
「僕はほんとに誰かに必要とされるの?」
天使のような少女は
はっきりと応えかける
「必要とされてるわ、絶対に」
忌み嫌われた少年は声を張りあげる
「根拠なんてないじゃないか。君は嫌われたことがないから言えるんだ」
天使のような少女は
声を詰まらせる
「どうして分かってくれないの?ここに、、私が……」
少年の涙と少女の涙、
交わらない想いが重なったとき、
本当のいみを知ることになる。
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約3年半前のメモ書きをそのまま載せてます。
多分、お題は「いみ」
ちゃんと表現出来ているでしょうか……。
知らぬひと、死ぬ人、しらじい人
「もしもし。こちら、天国コールセンターです。あなたの悩みや、天国について、できる限り電話で相談したりおしゃべりしたりしましょう。」
改めまして、こんにちは。私は天国コールセンターの姫です。気軽に姫って呼んでくださいね。
天国コールセンターには電話番号はありません。天国に思いを馳せた時に電話が繋がるようになっています。
本当は誰からも電話が掛からないことが理想なのですが……どうやら現世で生きる人達にもまだ必要とされているみたい。
そして、天国コールセンターで電話出来る時間は5分間。5分経ったら話の途中でも切れてしまいます。電話を掛ける時には気を付けてくださいね。
プルルルル……
あ、電話の音だ。
「もしもし。こちら、天国コールセンターです。」
『天国コールセンター?何だか胡散臭いなぁ。それに、僕はそんなところに電話を掛けた覚えがないよ。』
「あら、不思議ですね。では、あなたは天国の存在を信じていますか?」
『信じるわけないじゃないか。天国があったらみんな怠けちゃって働かなくなるからね。』
「ふふふ、そうですか。でも、この電話で繋がったのも何かの御縁。どうか今日も負けないで生きてくださいね。」
『言われなくても生きますよ。何ですか?もう切りますよ。』
ブチッ
あらあら、切れてしまいましたね。今の電話の人はどうやら若い男の人のようですね。天国なんて信じていないみたい。もちろん、天国コールセンターについても知らないみたいね。時々、何かの回線の不具合で天国と全く縁のない人と電話することがあります。……そんな人が後に、再び救いの電話を掛けて来ることがあるのですが。
プルルルル……
あ。また電話が掛かって来たようです。
「もしもし。こちら、天国コールセンターです。」
『やっと繋がった……私の命も残りわずかなんかもなぁ。』
「そんなことないですよ。一日一日を一生懸命生きてください。」
『おやおや。天国のお方なのに生きることを勧めるなんて。』
「当たり前でしょう。一生懸命生きなかった人は天国でも浮いてしまうんですから。」
『浮く?』
「死んで天国に行けたら楽して幸せな生活を送ることができる、と考えて安易に死んでしまった人は、天国でも怠けてしまって、みんなの迷惑になるんです。」
『そんな人は地獄に行ったらいいのでは?』
「地獄に行っても同じです。痛い目にあわないように姑息な手を使って避けているのです。天国も地獄も、現世とはあまり変わらないですよ。」
『うーん。じゃあどうして天国はあるのかい?』
「それは……
ブチッ
電話が切れてしまいましたね。いえ、電話を切ったのは私です。天国の存在意義を私に聞かれても答えられないですから。今の電話の人は、少し考えすぎなのかもしれません。もうちょっと柔軟に、物事を考えてほしいものです。
プルルルル……
また電話。今日は忙しいですね。
「もしもし。こちら、天国コールセンターです。」
『……。』
「もしもし?お電話繋がっていますよ。」
『……ボソッ』
「はい?もう一度言って頂けませんか?」
『もういい加減に止めにしないか。』
「何をです。」
『天国コールセンターなんて、あんたのただの暇つぶしだろ?あんたの気分に振り回されている他の人達の身にもなってみなさい。』
「……それを言うために電話したのですか。」
『そうだ。この天国コールセンターの対応を見てられないからね。』
「あらあら、随分と偉そうにおっしゃるんですね。天国コールセンターは必要な人にしか電話は繋がらないんですよ。だから、必要のない人には迷惑は掛からないようになっているんですが。」
『しかし……
ブチッ
また電話を切ってしまいました。クレーム対応はうんざりですからね。
『あんたが言いたいことはそれだけか?』
あら、おかしいな。さっき切ったはずの電話の人の声が聞こえる。
『白々しいぞ。本当はあんたが一番分かっているはずだ。天国コールセンターなんて本当は無いし、5分しか話せないのはあんたが1人でも多くの人と話して手がかりが欲しいから』
「……あら、随分作り話がお上手なのね」
『作り話かどうかはあんたの胸に手を当てて聞いてみな。あんたが探しているものは見つからないし、本当は天国なんて無いんだから
存在そのものを否定するなんてひどいですね。存在していなかったら電話出来るわけないじゃないですか。
さて、次の電話が来るまでまっていようかな。
……あれ。さっきまであれだけ忙しかったのに、パタリと電話が鳴り止みましたね。
おかしいな。これではまるで、さっきの電話の人の言う通りみたいに……
いいえ、考えすぎるのもよくないですね。紅茶をいれて休憩にしましょう。
お題:知らぬひと、死ぬ人、しらじい人